トリガーポイントとは?
トリガーポイントとは、痛みの発生原因になっているポイントのことです。過敏になった侵害受容器(痛みを感受する細胞・器官)が存在するポイントと説明することもできます。人間の筋肉は過負荷などにより痛めたとしてしても、数日で痛みはなくなります。しかし、同一姿勢の持続、痛めた組織への反復した負荷、寒冷刺激、ストレスなどで血行の悪い状態を作ると、その部位が痛みに敏感になります。
痛みを感受するセンサーが過敏化してしまうと、痛みやしびれ、こり感などの様々な不快症状を引き起こします。また、トリガー(Trigger)とは「引き金」という意味であり、引き金を引くと弾が遠くに飛んでいくように、トリガーポイントは症状を離れたところにも発現させることがあり、これを「関連痛」と呼んでいます。
最近の研究で、トリガーポイントはいわゆる線維性結合組織の総称であるfascia(ファシア)に優位に存在することが示唆されており、筋膜上や、腱・靭帯・脂肪組織・皮膚などの結合組織に広く発現し、治療対象となることがわかってきました。ファシアは、動かないことや使いすぎによって、癒着したり、伸長性が低下したり、刺激に敏感になったりして、痛みや可動域制限などの症状を起こすことが知られています。
MPS(筋膜性疼痛症候群)とは?
筋膜性疼痛症候群(きんまくせい とうつうしょうこうぐん、Myofascial Pain Syndrome:MPS)は、上記のトリガーポイントが原因で起きる病気のことで、Myofascia=筋肉を包む膜「筋膜」の異常から起きる、痛み・シビレのなどの症状を起こす疾患です。日本では筋痛症とも呼ばれることもあります。
この病気は1980年代にアメリカで『Travell & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual (筋筋膜性疼痛と機能障害: トリガーポイントマニュアル)』(Janet G. Travell 医師とDavid G.Simons医師の共著)という医学書にて発表されました。
通常、我々が急激に重い物を持ったり、無理な姿勢等により繰り返し筋肉に負荷をかけると筋肉に微小損傷が発生します。いわゆる筋肉痛の状態です。通常、この痛みは数日程度で自己回復をします。
筋膜性疼痛症候群(MPS)では一般的な筋肉痛とは異なり、痛みやしびれの強さが相当激しいものになり、更に痛みやしびれの範囲が広範囲に発生することもあります。